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珍品

先日面白い餌木を手に入れた。

和歌山県は田辺市で20~30年ほど前に販売されていたと言う。

鯛型の餌木。



鯛エギ




愛らしい表情もさることながら、まさに鯛のような体型。

さて、これの何が珍品なのか。

いや、確かに大分型全盛の現代にあって、

この鯛のような形をしている時点ですでに珍品ともいえるのだが…


まずこのような平たい体高のある形状の餌木が現役で使用されているのは

限られた知識ながら私の知るところでは以前ご紹介した種子島などの薩南地域の離島。




種子島エギ比較





それが遠く離れた和歌山県は田辺市でつい20年ほと前まで作られ

流通していたということが不思議なのだ。



昔の資料によればエギは薩南諸島から鹿児島、そして日本各地へと広まって行ったとか。

でも和歌山でこのような体高のある形状のエギがあると言う話しは初めて聞いた。

(僕が知らなかっただけですが。)

薩南の離島から伝播したものがこの地に定着したのか?

それとも全くのオリジナルとしてこの地で独自に作られ始めたのか?



謎だ…



しかもこのエギのカンナはいわゆる外洋系の曳きエギの特徴と言える半傘の三段針。

通常の外洋系のエギは下の写真のように水の抵抗を少なくするような直線的な形状で、

鼻先もとがっている形状が一般的。



外洋引型



一方この餌木、見るからに曳き抵抗の強いこの形状にもかかわらずカンナは外洋系の曳き型の形状と同じ。



鯛エギカンナ




謎だ…




さらに。

この鯛型の餌木の背中に生えている「背ビレ」。




鯛エギ背ボロ




これは「背ボロ」と言って江戸期から明治初期の薩摩餌木に多く見られる特徴。



クロイオ型背ボロ


細イオ型背ボロ




そして明治中期から以後は廃れてしまい、「背ビレ」の着いた餌木は姿を消したはず。


もちろん取り付け方の手法は異なるものの、

餌木の背中に「背ビレ」を着けるというこの発想。

この地に伝承した遠い昔からそのまま継承されたものなのか?

それともこのエギを作った職人さんが独自に始めたものなのか?



謎だ!



ちよっと代わった形のエギ。

この中に隠れている様々な謎と疑問。

残念ながらすでに作者の職人さんはもう廃業されているとか。

この餌木の作者に話を聞きたかったなぁ…。

数々の疑問を、謎を、解き明かしてみたかったなぁ…。


残念


あのね、餌木 (あえて漢字で書くけどね) って日本の文化だと思うのね。

遠い昔に松明の燃え残りを抱いたイカをみた漁師が考案してから各地に伝播して。

それがまた職人さんたちによってその地にあった形に独特の進化をして。


惜しいのはその職人さんたちが廃業したり亡くなったりして行くうちに

次第にその餌木たちもこの世の中から姿を消していってしまう事。

時代とともにその技術が失われていってしまうこと。


残念無念。


だから僕は色々な餌木を集めているのデス。

まだまだ地方には僕の知らないご当地型の餌木がいっぱいあるに違いない。


面白い餌木の情報があったら

ぜひ教えてくださいな。





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2011-08-23 : エギもろもろ : コメント : 4 : トラックバック : 0
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非公開コメント

こんばんは
餌木って凄く奥が深いですよね!私も薩摩の昔のエギのリメイクを一本頂いて持っています。
今迄エギングに填まり自分で作ったエギは数知れず…作って、釣ってみて判った事が星の数程有るのにも関わらず、今だ腕は未熟のまま(悲)

これからも、日本古来からの純和製ルアー!『餌木』の探究を楽しみにしておりますぅ!
2011-08-30 20:36 : eg URL : 編集
egさんこんばんわ
餌木って面白いですよね。私の場合は探求なんて高尚なもんじゃないんですが、単に餌木が好きなんですよ(笑
色々な形があって、きっと作者のこだわりがそこにはあって。出来ることなら直接その作者の思い入れとかを聞くことができたらその餌木の最適な使い方とかも分かると思うのだけど。
egさんはエギの自作までされるのですね。すごい!
そのうち私も作ってみたいと思うのですが、無精者ゆえに時間があればとりあえず作るより釣りに行くのが優先になってしまいます。だから集めるだけなんですけど(笑
2011-08-30 23:47 : 江木乗男 URL : 編集
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2016-11-03 10:44 : : 編集
Re: タイトルなし
Y様

このたびは貴重な情報ありがとうございました。
また、せっかくコメントいただいておりましたのにご返事出来ずに放置となってしまい大変失礼いたしました。
当方しばらくブログから遠ざかっておりましたらこちらのログイン方法が変わり、パスワードも失念したりですっかりログインできずにおりました。
久しぶりに諸々が解決し、今日2年ぶり?でログインしましたらY様からのコメントが届いておりましたのでご返信させていただいた次第です。
和歌山の地名には詳しくないのでいづれ調べてみようと思いますが、まだご当地では製作されている方がいると聞いて安心いたしました。その後和歌山の漁師さんの知り合いの方から漁師さんの手作りの鯛型餌木を譲っていただく機会があり、ご当地の漁師さんの間では現役で使われていることを知り、いつか和歌山の地を訪れてみたいと思いをはせております。
このたびはご返事が滞りましたこと重ねてお詫びいたします。
ありがとうございました。


> 「餌木 鯛型」で検索してたどり着きました
>
> 和歌山の串本の漁師さんに聞いたのですが、以前は古座の船具屋さんで餌木を買っていたそうですが、最近は良く釣れる鯛型が入ってこないと言ってました
> 良く釣れる鯛型は津荷地区に製造してる人がいるとか
> ちなみち普通の餌木はエビ型と呼んでました
> 曳き釣りの漁師さんの話しでした
2017-04-29 11:35 : えぎのりお URL : 編集
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えぎのりお

Author:えぎのりお
先日風邪をひきました。
鼻をかんだら真っ黒な墨が出ました。
・・・うそです。
と言うくらいアオリが好きさ。
ああ、エギングが大好きさ。
でも気が付けばもう50なのさ w

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